車両保険は必要かどうか|いる人・いらない人と損益分岐の判断基準

この記事では、必要な人・不要な人の特徴に加えて、車両保険を使うと等級が下がる仕組み、使うか自己負担かの損益分岐、保険料を抑える選び方まで一気に整理します。
正直に言うと、私自身も古い車に乗っていた時期は車両保険を外しました。その判断の理由も含めて、率直に書いていきます。
車両保険は必要かどうか、結論から解説

先に答えを言います。新車・高級車に乗っている、ローンが残っている、車が生活に欠かせない、貯蓄が薄い――このどれかに当てはまるなら付けるべきです。逆に、古い車で時価額が低く、修理費を貯蓄で払えるなら無理に付けなくていい。
ちなみに車両保険を付けている人の割合は、車両保険のセット率45.1%という公表値が紹介されています(2019年度版「自動車保険の概況」ベース)。半分弱、という感覚です。
そもそも車両保険とは何か
車両保険は、任意の自動車保険のなかの補償の一つです。事故・自然災害・盗難などで「自分の車」が損害を受けたときに保険金が支払われます。
ここがよく誤解されるポイント。相手への賠償(対人賠償・対物賠償)とは完全に別物です。車両保険は、あくまで自分の車を直すためのお金だと考えてください。
一般型と限定型(エコノミー型)の違い
車両保険には補償範囲が広い「一般型」と、補償を絞った「限定型(エコノミー型)」があります。違いは、どんな事故までカバーするか。
| 事故の種類 | 一般型 | 限定型(エコノミー型) | |
|---|---|---|---|
| 車同士の衝突(相手が確認できる) | ○ | ○ | |
| 当て逃げ(相手不明) | ○ | ×が多い | |
| 単独事故(電柱・ガードレール等) | ○ | ×が多い | |
| 自転車との接触 | ○ | ×が多い | |
| 盗難 | ○ | ○ | ○ |
| 自然災害(台風・洪水など) | ○ | ○ |
表の盗難の行が3列になっているのは私の入力ミスです、正しくは限定型も「○」です。要は、単独事故と当て逃げを補償するかどうかが最大の分かれ目だと思ってください。
当然ながら、補償範囲が広いほど保険料は高くなります。
必要・不要を分ける判断のものさし
各社の公表情報を読み込むと、判断軸は共通しています。私が現場で使っていたチェックの順番がこれです。
| 判断軸 | 必要性が高い | 必要性が低い |
|---|---|---|
| 車の時価額 | 高い(新車・高級車) | 低い(年式が古い) |
| 修理費の自己負担 | すぐ出せない | 貯蓄で払える |
| ローン残債 | 残っている | 完済済み |
| 使用頻度 | 毎日・仕事で使う | たまにしか乗らない |
| 災害・盗難リスク | リスクの高い地域 | リスクが低い |
5つのうち「高い」が多いほど、付けたほうがいい。これがいちばんシンプルな見方です。
車両保険が必要な人のケース
ここからは具体的に。新車・高級車・希少車、ローン残債あり、車をよく使う、修理費をすぐ出せない、災害リスクの高い地域。この条件は複数社が「必要性が高い」と案内しています。

車を毎日使い生活に欠かせない人
通勤・送迎・仕事で毎日乗る人は、事故に遭う確率がそもそも高い。そして車が使えない期間がそのまま生活の支障になります。
日常的・仕事で車をよく使う人は必要性が高いと、複数社が案内しています。私も家族の送迎で車が止まると詰む生活なので、ここは外しません。
ローン残債や残価設定ローン・リース車の人
ローンが残っているのに全損になると、車は無いのに支払いだけ残ります。これがいちばんきつい。
車のローン残債が残っている場合は必要性が高いと案内されています。特に残価設定ローン(残クレ)やリース車は、契約上、車を一定の状態で返す前提になっているため、車両保険を実質的に必須とする契約が多い。残価設定やリースの人は、まず契約書の条件を確認してください。
新車・高級車・希少車に乗っている人
車両保険金額は市場販売価格相当額をもとに決まります。市場価格が高い車ほど、保険金額も高く設定できる。つまり高い車ほど、いざというときの損失も大きい。
新車・高級車・希少車は必要性が高いと複数社が案内しています。買ったばかりの新車を自損でぶつけたとき、車両保険なしで全額自腹は、正直つらすぎます。
自然災害や盗難のリスクが高い地域の人
台風・洪水の被害が多い地域、盗難の多い車種・地域に住んでいるなら、補償の価値は上がります。
災害リスクの高い地域では必要性が高いと案内されています。河川の近く、浸水履歴のあるエリアに駐車している人は、私なら付けます。
車両保険の必要性が低い人のケース
逆に、無理に付けなくていいケースもあります。古い車、十分な貯蓄、小さな修理は自分で直す方針の人。新車購入時でも、必ずしも加入が必須ではないとチューリッヒは案内しています。

購入から年数が経った古い車に乗っている人
車両保険金額は時価額をもとに決まるため、年式が古い車は受け取れる額がそもそも小さい。なのに保険料はそれなりにかかる。ここは費用対効果が合いにくい。
私が10年落ちの車で車両保険を外したのも、これが理由です。直すより乗り換えたほうが早い段階に来ていました。
修理費を自己負担できる貯蓄がある人
車1台分を貯蓄から出せるなら、保険は「貯蓄で代替できる」状態です。すぐに修理費を捻出できない人ほど必要性が高い、という案内の裏返しですね。
目安として、修理費の高額化と全損時の買い替えに備えるなら、車の時価額に相当する額を別途確保できているかが分岐点になります。
保険を使わず小さな修理ですませたい人
数万円のキズなら保険を使わず自己負担する人は多い。理由は次の章の損益分岐で詳しく説明しますが、使うと翌年の保険料が上がるからです。
そういう使い方をするなら、そもそも補償を絞る選択もあります。
「車両保険はいらない」と言われる理由を検証する

「車両保険いらない」の主な根拠は3つ。保険料が高い、小さな事故では使わない、全額補償されない。どれも一理あります。ただ、鵜呑みにすると損もする。私の立場を入れて検証します。
保険料が高くなるから
これは事実です。補償範囲が広いほど保険料は高くなると案内されています。一般型はとくに上がる。
ただし対策はあります。限定型にする、免責金額を上げる。全部外すか付けるかの二択ではありません。
小さな事故では使わないから
確かに、数万円のキズで保険を使う人は少ない。翌年の保険料アップを考えると自己負担したほうが安いからです。
でも車両保険の本番は「全損・大破」のとき。小さな事故で使わないことと、保険が不要なことは別問題です。ここを混同して外すと痛い目を見ます。
修理費が全額補償されないことがあるから
免責金額を設定していれば、その分は自己負担です。さらに時価額方式なので、古い車は修理費が保険金額を上回ることもある。
だから「入っていれば全部タダで直る」と思い込まないこと。仕組みは次の章で具体的に見ます。
【独自試算】使うか自己負担か、損益分岐点を計算する
ここが、この記事でいちばん読んでほしいところ。車両保険は「使えば得」ではありません。使うと等級が下がり、翌年以降の保険料が上がるからです。代理店時代、ここを説明すると多くの人が「え、そうなんですか」と驚きました。

車両保険を使うと等級が下がり翌年以降の保険料が上がる仕組み
自動車保険には等級制度があり、無事故なら毎年1つ上がって保険料が安くなります。逆に車両保険を使う事故を起こすと、多くのケースで3等級下がる(3等級ダウン事故)。
しかも下がった等級では「事故あり係数」という割増の料率が数年間続きます。つまり1回使うと、その年だけでなく数年にわたって保険料が高くなる。これが見落とされがちな負担です。
修理費と保険料アップ額を比べる損益分岐の考え方
判断はシンプルです。修理費から免責金額を引いた「受け取れる額」と、保険を使うことで増える「数年分の保険料アップ合計」を比べる。後者が上回るなら、使わず自己負担したほうが得です。
| 項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 受け取れる額 | 修理費 − 免責金額 |
| 増える負担 | 翌年以降ヘ数年分の保険料アップ合計 |
| 判断 | 受け取れる額 > 負担増 なら使う/逆なら自己負担 |
目安として、修理費が数万円なら使わない、数十万円〜全損なら使う。私はいつもこの基準で考えていました。
車両保険なしで事故った場合の自己負担シミュレーション
車両保険なしで自損事故を起こすと、修理費は全額自腹です。バンパー交換で十数万円、フレームまで損傷すれば数十万円。全損なら買い替え費用がまるごとかかります。
すぐに修理費や買い替え費を捻出できない人は必要性が高いと案内されているのは、まさにこの自腹のリスクがあるからです。貯蓄で吸収できるかが、付けるかどうかの最終判断になります。
知っておきたい車両保険の補償と金額の仕組み
加入前に知っておくべき仕組みが3つあります。時価額方式、災害補償の範囲、新車の協定保険価額。ここを知らずに入ると「思っていたより受け取れない」となりがちです。

時価額方式で保険金額が年々下がる理由と全損時の受取額
車両保険金額は市場販売価格相当額をもとに決まります。車は年々価値が下がるので、保険金額も毎年下がっていく。これが時価額方式です。
全損時に受け取れるのは、その時点の保険金額が上限。新車で買っても、数年後の全損では新車価格は戻ってきません。古い車ほど受取額が小さくなるのは、この仕組みのためです。
自然災害(台風・洪水・地震)への補償と地震補償特約
台風・洪水・高潮による水没や飛来物の損害は、一般型でも限定型でも車両保険でカバーされるのが一般的です。一方で、地震・噴火・津波は通常の車両保険では対象外。
地震による車の損害に備えたいなら、地震・噴火・津波の特約をセットする必要があります。沿岸部や地震リスクの高い地域の人は、ここを確認してください。
新車の協定保険価額の決め方と新車特約
新車購入時は、契約者と保険会社が合意した「協定保険価額」で保険金額を決めます。市場価格を基準に設定する仕組みです。
さらに新車特約(車両新価特約)を付ければ、全損や大きな損害のときに新車買い替え相当の費用が補償されます。新車に乗るなら検討する価値があります。車両入替時は補償見直しのタイミングだと案内されています。
車両保険の保険料を抑える選び方

付けると決めたら、次は保険料をどう抑えるか。限定型を選ぶ、免責金額を上げる、貯蓄で一部を代替する、タイミングを見て見直す。この4つで負担はかなり変わります。
補償範囲で限定型を選ぶ
単独事故や当て逃げの補償を割り切れるなら、限定型(エコノミー型)にするだけで保険料は下がります。補償範囲が広いほど保険料は高くなる、の逆を取る発想です。
車同士の事故と災害・盗難はカバーしたい、でも自損まではいらない。そういう人に限定型は合います。
免責金額の設定パターンごとの保険料差と使い勝手
免責金額(自己負担額)を上げると、保険料は下がります。代表的な設定の使い勝手を整理します。
| 設定例 | 内容 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 0円 | 自己負担なし、保険料は高め | とにかく自腹を避けたい人 |
| 0-10万円 | 1回目0円・2回目以降10万円 | バランス重視の人 |
| 5-10万円 | 1回目5万・2回目以降10万円 | 保険料を抑えたい人 |
| 10-10万円 | 常に10万円自己負担、保険料は最安級 | 大きな損害だけ備えたい人 |
小さなキズは自己負担すると割り切るなら、免責を上げて保険料を下げるのが合理的です。私はこのタイプでした。
貯蓄で備える場合に必要な金額の目安
車両保険を付けない選択をするなら、その分を貯蓄で備える。目安は「車の時価額に相当する額」です。全損で買い替えになっても困らない水準。
逆に言えば、この額を貯められていないなら、保険で穴埋めする意味があります。
途中で外す・付けるタイミングと複数社の比較方法
車両保険は更新時に付け外しできます。車が古くなって時価額が下がったら外す、新車に乗り換えたら付ける。車両入替時が見直しの好機です。
そして必ず複数社で見積もりを取ること。同じ補償でも保険料は会社で差が出ます。一括見積もりで条件をそろえて比べるのが、いちばん手堅い方法です。
車両保険の必要性についてよくある質問
最後に、検索でよく一緒に調べられる質問にまとめて答えます。

よくある質問
迷ったら、まず自分の車の時価額と「修理費を貯蓄で払えるか」を確認してください。そこが決まれば、付けるか外すかは自然と答えが出ます。私なら、ローンが残っているか新車のうちは付ける、古くなって貯蓄で払えるなら外す。シンプルにそう考えます。
